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颯木あやこさんの新詩集『うす青い器は傾く』

2012年04月28日

先日、北爪満喜さんの詩と写真展「水はわすれている そしておぼえている」の会期中に颯木あやこさんがお越しくださいまして、新詩集『うす青い器は傾く』をいただきました。北爪満喜さんが栞を書かれています。

颯木あやこさんの新詩集『うす青い器は傾く』(思潮社)を拝読いたしました。

もう言葉の巧みな・・・なんと言うのでしょう。
レトリックの巧みさもさながら、すごい世界観・宇宙観でイマジネーション豊かで、表現力の秀逸さ、みごとに心象風景を創造しているなぁと言う感じで。。
行から行へと初めて出会う言葉の連続に驚かされて、その世界観に驚かされて、「すげーっ」と唸りっぱなしでした(笑)。

描かれている世界は、とても痛い、皮膚を切り刻むような・・・

「知らない光が差してきて/赤肌さらしたヒリヒリ痛む魂を/
 ぼうっと包んでいる (「森」より)」

「わたしは知っていた/雨に混じって 町のすべての悔恨が/
 この肌をぬらしていることを/長雨の時期には体中が灼けるように痛み
 (「水色の絹糸」より)」

なのだけれど、一篇一篇の詩も、全篇を通しても、幻想曲のように美しい。


詩集は三部から構成されています。

Ⅰ 花野菜の憂鬱 (9篇)
Ⅱ イニシャル (9篇)
Ⅲ 真夜中 器は (9篇)


「Ⅰ 花野菜の憂鬱」では、わたしの幻影のような[少女」、[太陽]、[月]のキーワードが心に残りました。わたしが[月]になっているような一篇「月の歌」が好きです。

「Ⅱ イニシャル」では、[あなた]、[墓]、[三日月]のキーワードが印象的。
一部では[月]がどこかわたしを投影するような寄添うような存在に感じられたのですが、二部では[三日月]の存在が、少し変化したように感じられました。
三日月がはわたしを刺している「贖罪」は・・何か深い意味があるのだろうなぁ。メスになって断ち切られている「Dark Night」、、あ、でもこのメスは痛みを放出しているのか・・。
二部の最後「写真」の詩が好きです。

「Ⅲ 真夜中 器は」では、最初の詩「黒い池」で[月]がわたしを照らす存在になっているのが印象的でした。
また[胎児][幼子][少女][子どもたち][わたしの子ども]などわたしの分身のような存在も印象的。

[小鳥]のキーワードも大切そうです。

「翼を求めたら/わたしの魂は/
 死なない鳥のかたちになってしまった (「死なない鳥」より)」

「羽が涙で乾かない小鳥は/その墓穴を巣にして/
 最後の暖を取るだろう (「太陽の墓標」より)」

「古びた匂いのする庭/鳴き交わす小鳥たちの羽ばたきが/
 頭上すれすれに 盛んに風を起こす (「古い庭」より)」

そして最後の詩「Crash」で・・・

「そして小鳥を宇宙に放つ/
 もう青い空などどこにも見えないけれど 小鳥を―――
 (「Crash」より)」

魂が解き放たれたような感じがしました。「朝日をもいでトマトみたいに食べるわ」とあるから、太陽をも飲み込んでしまって、やっぱり宇宙になったのかな。。
でも「生き残った」のだから、飛び立てると思う。

とてもいい詩集でした。

何度も読み返しているのに、、全然うまく感想が書けていませんね・・(汗)
もう少し熟読しないと掴み取れないかなぁ。。もう何度か再読してみたいと思います。

ただ、素晴らしい詩集だということは間違いありません!(笑)。


私のすごく好きな一篇「月の歌」をご紹介させていただきます。


 「月の歌」

          颯木あやこ

白い皮膚で
まるい心で
宇宙に満ちる痛みを感じている

何度でも張り裂けて
見えない赤いしぶきを上げ
冷たい川のようにすすり泣いている

わたしを刺し貫くものは 何だったのだろう
弱い光をふりしぼって 闇を照らしてけれど
寄り添う星々が
一瞬きらめいただけだった

地上から放たれた無数の矢が
天空をさまよって
ここまでたどり着いたのか
ぎらり 銀色に光ったに違いないその先端は
地上の少女たちの叫びのかたちをしている

その叫びを
抱えられるだけ抱えようとしたけれど
皮膚はもう限界
心からも とめどなく透明な水があふれる

こうして 春の雨は降る
わたしは震えて朧月になりながらも
輝く翼とふれあったり
透き通って消えていく羽虫を見届けたりしながら
一春ごとに 少し強くなる

そして やがて
わたしを抱く宇宙の腕に
熱のこもった言葉を投げかけて
わたし自身が 宇宙の痛みになる


◆ -------------------------------- ◆

すごい詩ですね。。

颯木あやこさんの第一詩集『やさしい窓口』もちょうど一年前に読ませていただいていました。
中庭文庫にございますので、ぜひ二冊ともお手に取ってご覧ください。
お薦めです!!
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中庭ノ空オーナー のん です。プロフィール詳細
第一期 『Poem & Gallery Cafe 中庭ノ空』を経て。2015年2月より、第二期『曜日替わりカフェ@中庭ノ空』がOPENしました!

◎場所
西武池袋線「江古田駅」南口から徒歩8分、「東長崎駅」南口から徒歩10分(千川通り沿い)
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