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夏野雨さんの詩集『みずのうつわ』『箱舟』

2012年08月27日

夏野雨さんから、詩集『みずのうつわ』『箱舟』、個人誌『水玉通信 Vol.5』
『福岡ポエトリー・リーディングテキスト2012 [ラッシュ]』が届きました。
中庭文庫にて、委託販売しております。ぜひお手に取ってください。

20120824_02.jpg


福岡ポエトリー」は、毎月第4日曜日に福岡市内の cafe & Bar gigi で開催されている、オープンマイク形式の詩の朗読会です。冊子『福岡ポエトリー・リーディングテキスト2012 [ラッシュ]』は、福岡ポエトリーに集う詩人、18名の詩が掲載されています。

後記に“冊子のサブタイトルにつけた「ラッシュ」とは、完全な編集のまえの、未整理のままつないであるフィルムやその試写のことです。”とある通り、著者18人それぞれの生な感情が、リーディングされた声のようにテキストからも伝わってきました。


夏野雨さんの詩集を拝読しました。
日常生活の中のささやかなキラメキを両手でそっと掬い取るように、
言葉を書かれている詩人さんだと思います。

東京在住10年ののち、現在は福岡に戻られていますが、
詩集『みずのうつわ』(2007年7月1日 第一刷発行)は東京で、
詩集『箱舟』(2012年7月22日 第一刷発行)は福岡で、書かれています。
その土地や街や生活の変化も、かすかに感じられて味わい深く感じました。

それぞれの詩集から1篇ずつお届けしたいと思います。
夏野さんの、温かくて潤んでいて、それでいて凛とした眼差しを感じる詩です。



詩集『みずのうつわ』より

 鳥の名を
          夏野雨

白い部屋のなかで
ひとり目を閉じ
君のやわらかな輪郭をたどる

髪と頬と指と
ちりりと焦げつく孤独
甘い匂い

古くきしむ夜のあいだにとまっている鳥の名を僕は呼ぼうとしない
君の肩にとまっている鳥の名を
僕はいつも
呼ぼうとはしない

ひとびとが幸福と呼ぶものを
なぜ僕がそう呼ばねばならないのか
ひとびとが偽言と呼ぶものを
なぜ僕がそう呼ばねばならないのか

おそれ、手を触れられなかったものの正体は
この身をやく火の熱さだと
どうして僕は君にそう云えなかったのか

ゆめからさめるゆめのなかでぼくはきみの
よわいこころとあせとちいさなてのひらをにぎったままで
もうこんなにとおくまできてしまった
あのとりはどこかへとんでいってしまった

目を開く
白い部屋の中で
僕は地平線をさがす

この壁の向こうに
この海の向こうに
晴れた冬の空のしたに
いまもある地平線を

それからやっと
鳥の名前を呼ぼうと思う
そっとてをふって
いつかの君にごめんねを


*――――――――――*

詩集『箱舟』より

 かばう月

          夏野雨

丸い月が浮かんでいる
赤銅色
泣きはらしたきみの目みたいだ
(もう片方は どこにあるんだろう

ぼんやりとした夜だったが
数をかぞえるにはちょうどよかった
生きているからにはどこかへ行かなければならなかったが
そもそもこの星は疾走しているわけだから
ふりおとされないように
ふりおとされないようにするだけでよかったのかもしれなかった

涙は流れなかった
遠くにいた
遠くで燃やされて
だから
夜になればいつもひかった
いつかそんな知り合いがふえて
夜のほうが親しくなって
遠くに行くのも怖くないかなって
思える日が来るんだろうか

夏の宵闇を流れる賑わいは
どこか水と火薬の匂いがする
片手でかくした
線香花火 みたいだね

ひとえにじゅう
にじゅう さんじゅう しい ご
数えて とまる
水に映って
流れる月

かばう片手は
ここにあるよ
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中庭ノ空オーナー のん です。プロフィール詳細
第一期 『Poem & Gallery Cafe 中庭ノ空』を経て。2015年2月より、第二期『曜日替わりカフェ@中庭ノ空』がOPENしました!

◎場所
西武池袋線「江古田駅」南口から徒歩8分、「東長崎駅」南口から徒歩10分(千川通り沿い)
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